水いぼ(伝染軟属種)・とびひ(伝染性膿痂疹)

水いぼってなに?

水いぼとは皮膚の小さな傷などから伝染性軟属腫ウイルスが感染することによって細かいぶつぶつが発生する皮膚のウイルス感染症の一つです。
水いぼは俗称で、正式には、伝染性軟属種と言います。皮膚のバリア機能がまだ完成していない、小児に発症しやすいとされています。 乾燥肌がベースにあることが多いです。

水いぼの症状

発生するイボは直径2~5mmほどの大きさで、少し光沢があり、真ん中に中心臍窩というくぼみがあるのが特徴です。かゆみがないことが多いですが、時にかゆみを伴って、引っ掻いてたくさん増えてしまいます。
結果、湿疹になったり、とびひ(伝染性膿痂疹)になったりします。

水いぼの治療

前提として、保湿と湿疹の治療をまず行います。その上で、以下の治療法を選択します。

①摘出

痛みを緩和する目的に事前に麻酔のテープを貼って、専用のピンセットを用いてつまみ取ります。
数が多くなると取るのが困難になり、子供もトラウマになってしまうため、できる限り数が少ないうちに取ってしまうことをお勧めします。

②冷凍凝固

数が多く摘出が難しい場合に行います。
-196℃液体窒素を用いて、水いぼを冷凍凝固し治療しますが、一度で治癒することは少なく、2週間おきの通院が必要になります。
やはり少し痛みを伴います。

③銀イオンクリーム(M-BF Cream)

摘出も冷凍凝固も難しい場合の手段として、銀イオンを含んだクリームの販売をしています。
自然に治したい場合の一助としてお試しください。

自費購入:2,200円

④自然治癒

水いぼは、皮膚のバリアがしっかりして、免疫がつくと自然治癒します。
ただし、個人差があり、数ヶ月で治癒する子から数年治らない子もいます。

水いぼQ&A

水いぼは取った方がいいの?

皮膚科の先生の多くは、取るべきと考えています。水いぼは取らないでも半年から5年以内に自然に治ることが多いので「取らなくてもいい。」という先生もいますが、しばらく経過を見ているうちに、全身に増えてしまったり、掻きむしってとびひになったりすることも多いです。また、保育園や幼稚園によっては、水いぼがあるとプールに入れてもらえないこともあります。そもそも治るまでに5年も待てません。そのため、私個人的にはできるだけ数が少ないうちに治療してしまうのが一番良いと考えています。

とびひってなに?

とびひってなに?とびひは、おもに小児期にみられることの多い皮膚の細菌感染症です。
アトピー性皮膚炎があると子供だけでなく大人もかかることがあります。正式には、伝染性膿痂疹と言います。おもに黄色ブドウ球菌(たまにMRSAや溶血性連鎖球菌)という細菌が皮膚表面に感染することで発症します。
手で掻いたりして発疹(膿痂疹)があっという間に広がるのが特徴で、その広がり方が、あたかも火事が周囲に広がる様に似ていることから、「飛び火」と呼ばれます。

とびひの原因

主に黄色ブドウ球菌という細菌によって発症します。ブドウ球菌のうち30%程度がMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)という抗生物質が効きにくい細菌によります。
まれにA群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)の感染によって発症することがあります。
臨床症状からある程度菌の種類を予測できますが、何の菌に感染したかによって、よく効く抗生物質の種類が変わってくるため、皮膚の細菌培養検査を行うことがあります。

とびひの症状

感染した菌の種類によって症状が少し変わってきます。
黄色ブドウ球菌が産生する毒素(exfoliative toxin)は皮膚の細胞と皮膚の細胞をバラバラにしてしまうことから、皮膚に水ぶくれができてきます(水疱性膿痂疹)。かゆみや痛みを伴い、ジュクジュクした発疹が特徴です。乳幼児は鼻の中に黄色ブドウ球菌を保菌していることがあることから、典型的には鼻孔周囲からとびひの皮疹が拡がっていきます。まれに毒素が全身にまわり、全身真っ赤になり水脹れができるブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)になることがあります。

A群β溶血性連鎖球菌が原因となる場合は、カサブタのような発疹があちこちにできます(痂皮型膿痂疹)。炎症が強く、痛みが強い傾向にあります。全身症状として、発熱やリンパ節の腫れ、喉の痛みを伴うこともあります。まれに急性糸球体腎炎を合併することがあり、まぶたや足がむくんだり、血尿やたんぱく尿が出たりします。

とびひの治療

治療は、主に抗生物質の内服を行います。患部には外用剤も併用します。抗生物質の効きが弱い場合は、検査で菌種を確認して、感受性のある抗生物質に変更します。

生活の注意点

  1. 患部を洗浄し清潔に保つことが重要です。石けんとシャワー浴で清潔にすることで、菌を減少させて下さい。
  2. とびひの菌は、容易にうつります。一緒にお風呂に入るとうつる可能性高いため、歳の近い兄弟がいる場合は、別々にお風呂に入るようにして下さい。タオルも共有しないようにして下さい。
  3. 通学、通園は法的には問題ありませんが、同世代の子供にはうつりやすいので、学校・園に行くときには患部をガーゼで覆って他の子供にうつさないように予防してください。プールは禁止です。

 

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